三日間の夏休みがおわって、ぼんやり、記憶を反芻してみる。


一日目。古くからの友人たちのバンドがCDをつくったというので、ずっとたのしみにしていたライブへと脚を運んだ。しっている顔ぶれもちらほら、友人たちはすっかり酔っぱらっていて、みんなはしゃいでいるようだった。いつも無口な友人が上機嫌でぺらぺらわらっているのがわたしはうれしかった。なにかいいことでもあったかなとおもいながら、乾杯を何度もした記憶。欲しい缶バッチがあったのでねだると、いちばんダサいやつじゃん、なんてゲラゲラ笑いながらくれた友人は、会う毎にX JAPAN化していく。ゴミ箱が宙を舞うのがスロウモーションにみえたり、芯のしっかりしたノイズがきもちいいとはじめて感じたり、人のオーラみたいなものが見えてしまったりする夜だった。気づけば自室のソファで眠っていて、帰巣本能とはすごいなと改めて頷くなどしたのであった。



二日目。渋谷にて待ち合わせ。

ごみごみしている日曜日の街とは裏腹に、わたしはものすごく穏やかな心持ちだった。そわついてはいたのだけれど。なにもかもがはじめてのことなのに、はじめてじゃないような、なにがおきてもだいじょうぶなような、きがしてた。レコード屋さんに出向き、焼き鳥とおさけをたらふく、映画を観て、歩き回り、おさけをのんで、たくさんわらって。あたたかい、ただ素直に、そう感じているじぶんに、おどろいていた。それに、渋谷という街が、前よりもすきになった。



三日目。

ずいぶんとたくさん眠って夢をみた。現実と夢がまじって、ふしぎだったけれど、こわくはなくて。時間がとまればいいのに、なんて、ロマンチックかよって、口先を尖らせたりして。未来なんてものはわからないけれど、未来のことを話すのは、くすぐったくってここちいい。

夕方頃、ひさしぶりに会った知人が、無花果の苗をくれた。実が三つ、なっていたので、いつ食べれるかしら、なんて今からたのしみ。

0時過ぎ、酒呑みの友人と待ち合わせて居酒屋へ。ふらっと飛入りゲストのようにもうお一方。昔話をやんやとしていたら、いつのまにか酩酊の朝6時。一人の髪は紫色、もう一人の髪はピンク色、みんな肌には彫物だらけ、アルコールが手伝って視界がちかちか。愉快だった。



さいきん、きづいた。

わたしは、肌に触れられるのが、得意ではない。性別に関係無く。ましてや、彫物に気安く触られるのなんて御免だ。見世物でもお洒落でもアートでも無いから。すべて、たいせつなのだと自分で気がついたときに、自分のことがいとおしい、なんておもってしまってこまった。わたしは、わたしを、つくりつづける。あるときは、だれかに手を貸してもらい、支えられて。

ことばって、すごいな。



いい夏休みだった。

やわらかく、ありたい。

云々。