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水色



人の中にある扉は、それぞれカタチも成分も、違うのだとおもう。ある人はアーチ型、ある人は真四角、硝子張りだったり、ふやふや軟らかいものだったり、ごつごつして重たい石のようだったり。わたしの扉は、どんなものだろうか。あの人の扉は、とても大きくて、くるくるカタチを変えるようにおもう。だけれどその扉は、いまのところ、わたしに向いて開いているようで、こんなことは、いままでにほとんどなかったから、単純なわたしはうれしさで頬をゆるめてしまうし、こまったようにかんじて、拗ねたふりをしてみたりする、けれど扉は、こちらに向いてくれていて、ふと、ないてしまいそうになる。おおきな扉が、ちいさな扉を包むように、あの人のてのひらは、わたしのてのひらを、すっかりと包む。いつのまにか、或るわたしは、やさしくころされたのかもしれない。あたたかい他殺、そう唇の隙間からこぼれたことは、もうすこしだけ、だれにもひみつにしておこう。だってなんだか、くすぐったい。


こんなにあたたかいことは、わたしをひどく弱くもさせるし、最強にもさせるのだと、気づいた。何があってもこわくないなあと思った矢先、スッとこわくなる。わたしは、人が死ぬことがこわいのだ。もしもまた、身近な人が死んだとき、わたしはわたしの脚で、立っていられるだろうか、そんなことをおもって、ばかね、すこしわらって、黙る。



雪割草の夢を、みたい。