こいびと



恋人ってなんだろう、とおもった。外を歩いていると、電車に乗っていると、働いていると、恋人どうし、みたいなひとたちに遭遇することがある。手を繋いでいたり、親密そうに話していたり、抱きあってたり、揉めているふうだったり。だけどその認識って、わたしのもので。


なんなんだろう、



わたしには恋人がいて、いっしょにいるようになってからもうすぐ二年になる。唐突ハリケーンみたいなケンカを10回くらいはしていて、雷もおちたし、地割れもした、摂氏零度以下になったこともあったし、噴火もした。アレ?ブレーカーおちた?と思わず焦るような空気にもなったし、もう顔もみたくないからちょっと機関車トーマスのお面買ってくるね!みたいなこともあった。にぎやか。



いま現在、恋人の左目はどす赤く内出血しているし( わたしが殴った )、わたしの肋骨にはヒビがはいっているし( 殴られてはいない )、はたからみればびっくりされるのかもしれないし、わたしを何よりもサイテーな気分にさせるのは彼で、だけどわたしをだれよりもうれしくさせてしまうのも彼なのだときづいて、へらへらわらっている。なんでもいいや、とおもったりすることがあるけど、こういうことなのかもしれないなってかんじているいま。




酔っぱらって眠っている恋人を視線の端に、わたしはおさけをのんでいる。

テーブルの上には、4つのスウプ。

たいくつだから、いたずらしよう。

起こさないように。