とける




冷蔵庫から、キムチの匂いがする。

きょうは、朝はやくから雨が降りつづいて、お昼すぎ、やんだ。



きのう、ひと月ぶりくらいに、恋人とふらふらおでかけした。彼は寄り道の天才である。目的地にたどり着くまでに、そうだあそこに寄ろう、あの看板みて、いってみよう、となり、うんうん、いってみよう、となる。わたしはコレと決めたら一直線人間なのだけど、たのしそうなことがすきなので、すこし焦りながらわらったりおこったりする。狭いとおもっていた世界はうんと広いことに気づかされる。気の短いわたしは、いつのまにか引っ張られていて、ふらつく足元は支えられてる。ふしぎだ。



あたらしくはじめた仕事も、気づくと3カ月くらい続いていて、時間と中身の濃度の差に驚く。いろーんなことがあって、ばたばた、しーん、ばたばたばた、賑やかで。仕事をするにあたって、やりがいがほしいとおもうのだけど、なんやかやおもいつつも、そんなものは自分でみつけるのだ、といまおもう。明日から状況がぐんぐん変わるんだろうけれど、やれるだけやりたい。すべてが毎回ちがうことだとおもうから。



十一月に、ライブの予定がある。計画、提案、練り直し、構成、色彩の濃淡、なにがみえるか、プラスチックに油絵具を撒き散らして、生クリームを絞って、果物をのせるかのせないか、じゃああの猟奇的人物が隠れている曲は?高いヒールを鳴らして逃げていくかんじで、変身したくて犬になっちゃったけどまだどうしても変身したい男の曲は?変身しつづけよう、

すごくたのしみだ。




冷蔵庫から、キムチの匂いがする。ソファにねむるねこからは、シャンプーのいいにおい。耳たぶに、蛍石がゆれる。なんだか、わたしは、すごくうれしい。



お元気ですか。

これは、残暑お見舞いです。

つぎの季節の風がふいてる。