あつくもなく さむくもなく、すこしだけ開けた窓の隙間からは風が吹きこんできて きもちがいい。部屋に残る燻製香と ずっとしっていたようなけむりの匂いと 外のにおいたちがまじって、象の描かれた缶ビールの甘さと 舌にのこったスパイスたちの触感と、

ああ ねむたい、ひどくねむたい、

 

ふと気づいた、

彼と出逢って わたしはずいぶん潔癖みたいになってしまったな と。それまでふらふらとテキトーもテキトーさを本気で無意識下に生きているような生き物だったのに、彼以外の異性に触れられることや近づかれることに体が拒絶反応を示し始めたのだ。それはもうずっとなおらなくて困ってもいる。いちど彼と離れて 他のヒトとお近づきになったけれど、あの半年間、わたしはひたすら酒を飲んでいて、うっすらと存在する違和感をずっと見ないふりをしていたようにおもう。恋に恋をしようとしていたのか、途中からは躍起になって穏やかさを求めて 崩壊した。あの部屋のドアを最後に出たときの安堵感たらない。あの頃の生活を、もうはっきりとは思い出せないくらいなのだ。

 

どうして、なのだろう。

飽きっぽいわたしが、飽きない人間に出逢ってしまっていたことに、驚いている。なんて言うと偉そうな言いぐさだけれど。

 

わたしが目をさますと、彼は包装された袋をわたしに手渡した。たくさんの可愛らしい野菜たちと、きっとずっと何度も読み続けるであろうすてきな本と、ハジメマシテのおちびちゃん。うれしくてこまってしまったから、そのとき何を口走ったか記憶にない。幼い頃の クリスマスみたいだった。

 

勘弁してくれよ そうおもう。

そばにいてくれたら、他のかぼちゃがずっとかぼちゃにしかみえないままだから、勘弁してくれよ そう わたしの底からおもっている。

 

 

ああ ねむたい、