マザー

 

 

困惑してる、他者との接し方がどんなふうだったか、この感情がなんなのか。名前をつけるとしたら?なんだろう。

 

緊張して、ほとんど二日間なにも食べていなくて、作るだけ作っておいたスウプを温めて食べた。牡羊座のひとはラム肉はお好みではないのかしらん。と、メモ。

 

わたしがずっとつけている右手薬指の指輪には意味があるっていうのを思い出した。当たり前になっていたぶぶん。そう、ふらふらと寄ってくる生き物を拒絶する為だ。時には理由をつけて。適当な関係なら要らない。そう、そう。わたしもおなじ。

 

まっすぐ、対われると、戸惑ってしまう。それは天秤がゆれているからか、自分に自信なんてなくって恥ずかしくおもうからか。

こんなことを、そういえばずっとこねくり回してきたね。だってすべては違うものごとなのだ。

 

あいたいな、そう、おもっている。

ゆっくり、話をしよう。

 

 

 

 

 

 

あつくもなく さむくもなく、すこしだけ開けた窓の隙間からは風が吹きこんできて きもちがいい。部屋に残る燻製香と ずっとしっていたようなけむりの匂いと 外のにおいたちがまじって、象の描かれた缶ビールの甘さと 舌にのこったスパイスたちの触感と、

ああ ねむたい、ひどくねむたい、

 

ふと気づいた、

彼と出逢って わたしはずいぶん潔癖みたいになってしまったな と。それまでふらふらとテキトーもテキトーさを本気で無意識下に生きているような生き物だったのに、彼以外の異性に触れられることや近づかれることに体が拒絶反応を示し始めたのだ。それはもうずっとなおらなくて困ってもいる。いちど彼と離れて 他のヒトとお近づきになったけれど、あの半年間、わたしはひたすら酒を飲んでいて、うっすらと存在する違和感をずっと見ないふりをしていたようにおもう。恋に恋をしようとしていたのか、途中からは躍起になって穏やかさを求めて 崩壊した。あの部屋のドアを最後に出たときの安堵感たらない。あの頃の生活を、もうはっきりとは思い出せないくらいなのだ。

 

どうして、なのだろう。

飽きっぽいわたしが、飽きない人間に出逢ってしまっていたことに、驚いている。なんて言うと偉そうな言いぐさだけれど。

 

わたしが目をさますと、彼は包装された袋をわたしに手渡した。たくさんの可愛らしい野菜たちと、きっとずっと何度も読み続けるであろうすてきな本と、ハジメマシテのおちびちゃん。うれしくてこまってしまったから、そのとき何を口走ったか記憶にない。幼い頃の クリスマスみたいだった。

 

勘弁してくれよ そうおもう。

そばにいてくれたら、他のかぼちゃがずっとかぼちゃにしかみえないままだから、勘弁してくれよ そう わたしの底からおもっている。

 

 

ああ ねむたい、

 

 

水族館ではお静かに

 

 

やっぱり 今日は 雨が降っている

 

死んだら そのひとの体感時間は そこまででとまるのかもしれないけど 他者からしてみれば それまでのすべてが嘘みたいに感じることもある のだ 幼稚さか もはや愛 とかいう名のついてしまう代物みたいなものに属してしまったりするのか なんて そんなこと 死んだ子の親族からしてみれば どうだって いいことかもしれない 死んで しまったから だけどわたしは生きていて まだ生きるつもりでいる なんにも偉いことなんかじゃない 傲慢すぎて いやなやつだ と心底おもう だけど あのひとが わたしに向けた顔とか ことばとか 目に見えるような感情の色を しっかりおぼえていて そのくせ いとおしいなんてことは感じていない そんなことよりも なに死んでんだよと ずっとおもってるわたしはまだ のうのうと 生きてんの だからやるの まだ わたしを

 

 

五年前の 明日と同じ日付の午後
たくさんのひとたちが 泣いていて わらっていて どうしようもないようなきもちで みんなの表情や目の色 ことばたち 天候や湿度の感じ 葬儀場でかかっていた音楽 そういうものたちを まだわたしは 鮮明に思い出せる なにを してしまったんだろう と ずっと おもいつづけているけど どうすればよかったのかは ずっとわからないままでいる

 

どれだけ涙をこぼしながらでも 愛なんてしらないよ と わたしは心から言えるのだ しらないんだから
罪とか罰とかは関係無い わたしは愛なんてしらないし そのくせものすごく憧れているのだとおもう 目を伏せないで まっすぐだれかをみるひとに


すこしずつこぼれなからも どうしてもつまみあげてしまう記憶に わたしのこころをこめて

 

fucking birthday , robin

 

 

 

 

むらくもの

 

ぼんやり、のんびり、している。

おみくじはいつだって、待ち人はおくれてやってくるからじっと待ってろと、わたしに説くような気がする。いつか陽は差すから花が咲くのは待てと。それらはすごくしぜんなことを、再認識させてくれるようにおもう。何者も待たなければ、そわそわすることもないだろうし、花など気にしなければ天気なんてどうでもいい事柄なのだろうから。
年のはじめにいつもお詣りする神社さんにはお稲荷様がいて、いつも狐のうたをおもいだす。父さん母さんとてくてく歩きながら、人が多いねえ、屋台がいっぱいだね、鳥居は真ん中を通っちゃいけないのよ、あれ食べたい、じゃあ買ってこいよ、とだいたい毎年おんなじようなことを話す。あの時間がわたしはすごくすきだ。

今夜は大きな上弦のおぼろ月だった。
おぼろ、ってなんだろうか。おぼろ豆腐、おぼろうどん、くらいしか思いつかないけど。おぼろ犬っていうのがいたら、ふやふやしててきっとかわいいだろな。わたしはいますごくねむたくて、だけど恋人がやってくるのを待っていて、おさけをたっぷり含んでいる肉体は、地に足がついていないようで。わたしもいま、おぼろ、なのかもしれない。かわいくはないけれど。

おぼろなわたし、


今年のお正月にひいたおみくじをひらいてみた。争い事はしないほうがよさそうで、学問はしっかり勉強しなさいと、引越しは焦るなと書いてあって、恋愛はこのひとを逃すなと書かれていた。ふむふむ、
たまに読み返そう、そうおもったのであった。


職場の近くに、秋頃からずっと花が咲きつづけている冬の桜の木があって、このこはいつまで、と前を通るたびに見上げるのだけど、ただただ、逞しいなと。そこからすこし歩いたところに春に花を咲かせる桜並木道があるから、たまにそっちもちらとみてみるけど、まだまだねむっているようだ。
春になったら、ピクニックしたいな。


ひじょうにねむたい。
わたしは、恋人を待っている。
はやくあいたいのだ、とわかる。

 

 

 

 

ビターミルク

 


ひとの寝息をきいているのはここちいい。

 

わたしは わたしでいいのだ と おもえる。

 

白い靴下は汚れやすい。
けど、洗えばいいし、汚れたままでもいい。
生活の色。いのちがあるということ。

 

 

去年末から、調子がいい。
おさけをのみすぎて、くちびるがかさついているけど、ずいぶんずっと、気分がいい。すべてどうでもいいけど、どうでもよくなかったりすることをみつけると、透明が色づく。白い靴下とよく似てる。

 

 

 

 

 

 

——

 


イヤフォンから流れてくる音を、魔法みたいだな とおもった。なにが魔法でもそうじゃなくてもいいんだけど、否定されたっていまのわたしにとってはまちがいじゃない。魔法が呪いになることもあるし、スプーンにもナイフにもなったりするなとおもう。

起きたら電気が停まってて、ゆえに給湯器も作動せずにお湯もでなくてわらった、アイスコーヒーもきらしてて。煙草を一本吸ってから、いろいろ支払いにいった、薄明るい部屋の中でねこのご機嫌はナナメ、毛布をかけたら喉を鳴らしてまるくなって、


13:49、山手線の座席にすわったら、向かいの席に座っていたおじいさんの帽子がかわいかった。きょうの天気は晴れ。


豆腐って、とうふ のほうがしっくりくるけど、トーフ のほうが個人的には頷ける。


こんな朝がすきだ そうおもってる。

 

 

とける




冷蔵庫から、キムチの匂いがする。

きょうは、朝はやくから雨が降りつづいて、お昼すぎ、やんだ。



きのう、ひと月ぶりくらいに、恋人とふらふらおでかけした。彼は寄り道の天才である。目的地にたどり着くまでに、そうだあそこに寄ろう、あの看板みて、いってみよう、となり、うんうん、いってみよう、となる。わたしはコレと決めたら一直線人間なのだけど、たのしそうなことがすきなので、すこし焦りながらわらったりおこったりする。狭いとおもっていた世界はうんと広いことに気づかされる。気の短いわたしは、いつのまにか引っ張られていて、ふらつく足元は支えられてる。ふしぎだ。



あたらしくはじめた仕事も、気づくと3カ月くらい続いていて、時間と中身の濃度の差に驚く。いろーんなことがあって、ばたばた、しーん、ばたばたばた、賑やかで。仕事をするにあたって、やりがいがほしいとおもうのだけど、なんやかやおもいつつも、そんなものは自分でみつけるのだ、といまおもう。明日から状況がぐんぐん変わるんだろうけれど、やれるだけやりたい。すべてが毎回ちがうことだとおもうから。



十一月に、ライブの予定がある。計画、提案、練り直し、構成、色彩の濃淡、なにがみえるか、プラスチックに油絵具を撒き散らして、生クリームを絞って、果物をのせるかのせないか、じゃああの猟奇的人物が隠れている曲は?高いヒールを鳴らして逃げていくかんじで、変身したくて犬になっちゃったけどまだどうしても変身したい男の曲は?変身しつづけよう、

すごくたのしみだ。




冷蔵庫から、キムチの匂いがする。ソファにねむるねこからは、シャンプーのいいにおい。耳たぶに、蛍石がゆれる。なんだか、わたしは、すごくうれしい。



お元気ですか。

これは、残暑お見舞いです。

つぎの季節の風がふいてる。