らんちゅう
やぶれかぶれの
おてあわせ
うつせみ
夜はいつもたいてい起きているから、うたたねをするとお昼寝したようなかんじ。夜更けに目がさめて、ずっと観たかった映画を3作品、ある劇中にでてきたキューバサンドに、まんまと心臓とお腹が墜落して、キューバじゃないサンドイッチをつくって食べた。
料理はいつでもたのしい。
つぎはなにをつくろうか、ああそうだ、冷蔵庫にレモングラスがあるんだった、じゃあ、頭の中ぐるぐる。どんどん思いついちゃうから、やっぱりあと何個か胃袋がほしい。
あの日から、ちょうど半年。
いろんなことがあったし、あの日は夏で、いまは冬、もうすぐあたたかくなる。コーヒーカップみたいな、メリーゴーランドみたいな、観覧車みたいな、そんな日々。
分かれ道が、たくさんある。
選んで、どんどん歩いてく。
なにか、だいじなことを書き留めようとして、ぜんぶわすれてしまった。今夜のメニュウのことだったような、あの日みたまぼろしのことだったような、明日の天気のことだったような、ひさしぶりに耳にしたブラウンシュガーみたいな声のことだったような、
きょうはなにをつくろう。
もんてかるろ
時間が無い、だけどひま、
まったくそのとおりだ。
けっこう、いろんなことに参ってしまっている、さいきん。
まいにち、眠りにおちては夢をみる。数日前、受話器越しに耳にした声は、よくしっている、なつかしい声だった。待ち合わせは、すれちがって、すれちがって、あえないまま、目がさめた。二日後には、ソファの隣に腰かけていて、きみはかなしそうな顔をしてた。だけど、鋭くてやさしい、眼の色で、
きみは、だれ?
もう、そんなことすら、問題ではないというのに、わたしは質問する。
明晰夢だったなら、きっと、黙りこんでしまっていたのかも。
トランプを手に入れた。
ひとりでいるときに、どんな遊びをするかって、それは、だれにもいわない。わたしの呼吸がもし、1秒後に停まったとしたなら、すべてはあのこに聞けばわかる。
さ、帯締め直して、いきましょか。
そう、時間が無いのだよ。
だけど、背中の後ろに降る雪は、いつでもあたたかい。
4U
ふときづいた。
ある女の子と話していたとき。
わたしたちがことばを交わすとき、ことばを " 視て " いるのかもしれないな、と。
赤色の彼女と、青色のわたし。
何もかもがまるで正反対なわたしたちは、背中合わせでくっついているみたいだ。太陽が顔をだして、月が隠れていくように、星たちが鳥に姿をかえていくように、
何年か越しで気づいた、
二人とも、それぞれの額に傷跡があることを。原因は違う、よく似ている傷。
ーーーーーーーーーーーーー
そう、ことばを視ているから、気づくことが、たくさんあるのかもしれない。やまないおしゃべりが呼んだ朝に、みた夢は奇妙だった。
凛々しい犬が鼻先でおしえてくれた道の先には、何があったのだろう。
朝から、チキンスウプをつくった。
キッチンからのいい匂い。
また、つぎの夜にね。
おやすみ、スウプ
ドローの確率
コイントスをコントロールできるのは神だけ、そういっていたのは一体だれだったか。もはやそれ自体は問題では無い。
数日前にふと、感じた、
手札が増えていく。
何枚なのかは、わからないけど。
ひさしぶりに、お気に入りの灰皿をテーブルに置いて、煙草に火をつけた。映画を観ながら、片手でグラスのふちを指先でなぞってあそんでいた。ひとくち舐めるたびに、音が変化していく。ひとくち、またひとくち、空っぽになって、また注いで、
くるくるおなじばしょを回っていても、時間の問題で目をまわしてバタン。だから、じぶんに追いつかれないように、じぶんを追い越して、いかなくちゃっておもう。いつのまにか鼻がよくきくようになっちゃってて、だけど犬とかオオカミよりはちゃんときかないやつで、混乱して殻にこもる。だれも割ってはくれないよ?ってきづいて、内側からコツコツ、コツコツ、ひびをいれてまた外に出る。すごくまぶしかったりする。ああ前よりこわい世界になっちゃったなあ、でもやるぞ、って、
そういうのぜんぶ、だいじにしていたい。楽な場所ばかりには居られないのだ。
シュークリームをひとつ、食べた。
あんまり、甘くなかった。
1匹の魚が、泳ぎながら囁く、
「 水族館ではお静かに。」